Seaside Story
青学男テニマネージャー: さん 目が覚めると時間はまだ早く6時を過ぎたところだった。 先週から始まったテニス部の合宿での身体は 6時起きが既に習慣づいてしまったようだ。 二週間行われる強化合宿で男テニ+マネのは顧問の 竜崎の知り合いの経営する旅館に泊まり込みで海の近くまできていた。 今日はちょうど一週間目。つまり折り返し地点。疲れが出る頃と、 竜崎の提案で今日丸々一日自由時間が与えられていたのだった。 いつも以上のハードなメニューをこなしていたR陣は 今日一日ゆっくり休んで過ごすかな?などと思いながらも、 あの人だけは元気に走り回っていそうだなと布団の中で苦笑する。 どんな時でも浮かんでくるのは大好きなあの笑顔。 しかし、どんなにアプローチかけても気付いてもらえない、 未だに片思い中の彼の顔にひとりでに頬を赤く染めた。 一度考え出すと眠れなくなるもので、は布団から 起き上がり着替えると朝の海へと散歩に出かけた。 「う゛〜〜〜〜〜〜〜ん!やっぱり朝の海は気持ちイイっ!!」 は潮風に髪を靡かせながら浜辺まで歩いていき そのまま波打ち際で波とじゃれていた。サンダルと足の指の間に 波と共に砂が入ってくるが少しくすぐったい。 でも、朝の海水は冷たくて気持ちがいい。 気分が良くなってバチャバチャと膝まで浸かる位、 海に入っていくと沖に向かって思いっきり叫んだ。 「いい加減気付け・・・、 英二先輩のバカァ――――――!!」 叫び終わるとクスっと自然と笑みがこぼれた。 おもわずガッツポーズまで付けたくなるくらい気分が良くなる。 大声出すとスッキリ爽快っていうのはこう云う事をいうんだろう。 しかし、旅館に戻る為に浜辺の方に向き直ると爽快気分は ドコへやら振り返ったと同時にマズイと察知した。 「オレ、にバカ呼ばわれされる覚えないんだけど。」 振り返ったその先にいたのは紛れもなく、片思いの相手で 今さっきバカ呼ばわりした人、菊丸英二だった。 「英二先輩っ♪おはよーございます。今日は随分早いですね。」 とりあえず、話をそらそうとは笑顔で挨拶してみるも 菊丸は真剣な表情で何も言ってこなかった。 怒ってるよね・・・?普通怒るよね? のバカバカバカー!!なんで 回り確認してからやんなかったのよ!! 自己嫌悪に陥りながら、冗談ですよと誤魔化すべきかそれとも 誤るか・・・またはドサクサに紛れて告白しちゃうべきか・・・ 思想を巡らす。は頭が真っ白になると 云う体験をした。慌てて何も言葉が見つからない。 気まずい・・・それ以外のなのものでもない雰囲気に 押しつぶされそうになっては、菊丸から視線をそらした。 二人とも沈黙してしまい、雰囲気は更に悪化する。 先に口を開いたのは菊丸だった。 「、俺のことそんなに嫌い?」 本人の知らないところで『バカ』と叫ばれ、それを その本人が聞いてしまったのならそう考えるのは 普通の事かもしれない。しかし菊丸の言葉に 思考が追いつかないは 「え?」と、返すことしかできないでいた。 思考がまとまった所で出た結論は菊丸はの 気持ち全くもって全然気付いていないという事。 「?」 再度問いかけてくる菊丸に背を向けると、は もう一度海に入っていって今度は腿のあたりまで 海水に浸かる。大きく息を吸い込むとさっきより 大きな声で叫んだ。 「エージ先輩はどうしたら の好きって気持ちに 気付いてくれるんですか―?!」 こうなったらと一気に大声で叫んだは 顔を真っ赤にしながら菊丸に視線を戻した。 「えっ?え゛ぇ―――?!」 菊丸は驚いた顔で大声をあげるとの元まで駆け寄った。 「わっ、わっ、わぁー」 バッシャン 波に逆らって急いで走るものだから、足がもつれて 顔から大きく海の中に沈んだ(爆)否、転んだ(笑)。 「えっ、エージ先輩?!大丈夫ですかっ?」 も慌てて菊丸の倒れた所まで近寄った。 「うわぁ――ビックリした!!」 が側に寄ったと同時に菊丸は勢い良く海から生還した(笑)。 は菊丸が急に起き上がるのに驚いて一歩下がると 砂に段差があったようでバランスを崩ししりもちを付いた。 「っつめた―――。」 普通に立っていて腿の辺りまであった水位の為、 座り込んでしまったはあまたの先までグッショリ濡れてしまった。 その様子を見て菊丸がおなかを押さえて笑いだす。 「、ダッセー。」 その言葉にはぎゅっと菊丸を睨み返す。 それでも菊丸は笑い続ける。 「のほうがバカじゃん。」 「もぉ―――エージ先輩の所為ですっ!!」 そういって菊丸に海水をかける。 「にゃー、やったな!」 菊丸もかけ返してくる。負けずとも掛け返し さっきまでの雰囲気が嘘のようで二人して笑い出した。 「あ―――――、ベタベタだよぉ・・・。」 海から上がり砂浜に座り込んだが呟いた。 その横に菊丸も疲れたと座り込む。 「旅館戻れないなぁ〜。絶対エージ先輩のせいですからね。」 「インヤ、が俺のこと好きなんて云うからっしょっ!」 水掛に必死になっていて、すっかり忘れていたのだがそんな事もあった。 思い出すとかなり恥ずかしい事をやってのけた自分に体が熱くなった。 「俺のこと『バカ』って言ったり、好きって言ったりぃ・・・」 「/////////…だって好きなんだもん。私の気持ち全然分かって くれないバカな英二先輩が好きなんだもん///////」 が真っ赤になりながら言葉をつむぐと菊丸は身体をに傾けた。 「あ〜良かった。バカって言うし嫌われてんのかと思った。」 「嫌いだったら好きなんて言いませんよ・・・そういえばエージ先輩 なんでこんな朝早く海にいるんですか?」 「えっ、あっ、えっと、その・・・」 明らかに動揺している菊丸はチラチラと二人から少し離れた 砂浜に目を泳がしていた。がその目線をたどると菊丸が 立ち上がって走り出した。 「あっ//////」 波打ち際の砂浜に残っていたのは「恋のおまじない」。 ハートマークの中に菊丸英二との文字。 一晩波に消されなかったら・・・恋が成就するっていう。。。 一晩、見張っていてここで眠ってしまったのだろう。 その様子を思い浮かべるとは小さく微笑んで菊丸の後を追った。 〜オマケ〜 「乾、いいデータ取れた?」 物陰からビデオを回しながら出てくる乾に不二が声を掛けた。 「なかなかイイものが撮れたぞ。朝食の時にでも大広間の 大型TVで再生しようかと思うくらい。」 「TVを通じて皆に報告なんて、やってくれるね。」 楽しそうに話す不二を見ながら乾はビデオを巻き戻していた。 数分後、ベタベタのまま旅館に戻った英二とは竜崎に叱られ、 その後の朝食で手塚に怒られ、部員にひやかされる事になったのだが とりあえず思いが通じた二人はその日の自由時間を幸せに過ごした。 相互リンクしてくださった崋藺碧欹様に捧げる菊丸ドリです。 今回のリク『菊丸夢で、夏休み男テニみんなで海に行く、主人公は男テニマネで、 菊丸に片思い中、最後に菊丸とくっつく』だったのですが、大丈夫?できてます? 書き始めた作品とまったくもって違う作品になりました。これ下書きから5作目。 なんというか、叫び合い(愛?)を書きたかったのかな?リクが主人公の片思いだ ったので主人公が菊を追いかけて終わりましたが、なんか菊丸が可愛すぎだわ。笑 ここまで、お付き合いしてくださった様本当にありがとうございました。 感想など頂けましたら喜びますのでBBSへカキコをヨロシクです。 2002.09.09 makoto fujitake
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