☆お正月 Free Dream 2003☆
彼との新年


観月'S SweetHeart: さん




一月一日 元旦

10時にと一緒に着物で初詣に行く約束をしていた私は
午前8時のんびり起き上がり枕もとに置いてある携帯へ手を伸ばした。
画面を表示させるとそこにはテニス部の面々やクラスメイト、
地元の友達などお正月の挨拶MAILが何通も届いていた。

『、あけましておめでとうございます。今年も来年もそのまた次も
 これからずっと宜しくお願い致します。お正月、着物を召したに
 会いに行きます。待っててください。』
『、頼むから、今年は俺を巻き込まないでくれ!もうすぐ進路決定だが、
 進学先も俺と一緒のところを選ぶなよ!俺を自由の身にしてくれ!』
『先輩、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
 何かと大変だと存じますが、負けずにがんばって下さい。』

言わなくても分かると思うが、上から観月、赤澤、裕太の順で来た
MAILの内容である。ふふふ、バカ澤は今年も巻き込んでやるわ。
クリスマスの『仕返し』しないといけないし。待ってなさい、赤澤!
裕太には、、、なんか慰められているような気が・・・でも、やっぱり
イイコだわ。観月は・・・宜しくしたくないかも。。。赤レースだし。。

色々な感想を述べながらそれぞれに返事をして私はベットから出て
着替えを済ませた。そして新年の挨拶を両親にして一緒にお雑煮を食べ、
お年玉を貰った。中身は例年と変わらず3万円。不景気だというのに
ありがとう、お父さん・お母さん。このお金は大切に遣います。

その後、と初詣に行く為に、私は髪を結い上げ、着物と帯を選び、
化粧をして、母親に着物を着せてもらった。
「、ちょっと痩せた?帯が余るんだけど?」
「・・・かもね。色々苦労してるから。」
帯をしめながら、そんな事をお母さんと話した。そして、化粧を直して。
「簪はこれで、ここに・・・どう?」
「うんうん。すっごく可愛い!ありがとう、お母さん。」
髪飾りをつけると、鏡で自身を確認して私はニッコリ笑った。
用意しておいた鞄を持って、時計を確認すると10時少し前。
は10時に迎えにくると言っていたので、少し時間がある。
家の中を移動して、私はお祖父ちゃんやお祖母ちゃん、お父さんに
着物姿を披露して、クルリと一回転して見せた。


ピ〜ン・ポ〜ン


午前10時ぴったし、玄関のチャイムがなり私は少しおしとやかに
玄関までの廊下を進んで、ドアを開けた。

「おはよ〜。あけましておめでと・・・?」

玄関のドアをあけながら挨拶すると、玄関に立っていたのは真琴ではなく
黒のスーツをバッチリ着込んだ、ヤクザっぽい風格の男の人だった。
「 、さまですね。」
「は・はい・・・」
「お迎えにあがりやした。」
「は・い?(やしたって何?)」
意味が分からず驚いている私を無視して男は深々と頭を下げてきた。
そして彼の片手は車の方へ目を向けろとでも言うのか車を指していた。
視線を向けると直後、その高級感漂う車のドアが開いて出てきたのは
言うまでもなく、観月だった。驚いた表情の私とは対照的に、観月は
物凄い笑みを浮かべて私のもとへ歩み寄ってきた。

「、あけましておめでとうございます。・・・着物本当に着て
 くださったのですね。僕の為に、あぁなんて幸せなんでしょう。」

いや、違うし。
驚いたわりには、私の思考は正常だった。

「観月くん、何でいるの?」
「あれ?言ってませんでしたか?会いに行くと。」
「…言ってたけど…今日はこれからと出かけるの…よ…?」
そう述べる私を観月はクスクス笑った。そして私は悟ってしまった。
前回もこんな様な事があった気が・・・する?

「・・・あ゛――――――――――?!」

家がそれほど近いわけでもないのに一緒に行こうと誘われた事。
絶対に着物でと押し通された事。
迎えに行くから家に居てねといわれた事。

すべての事が疑いへ掛けられる。まさかと思うが・・・

「ハイ、さんに協力して貰いまして、を驚かそうとした訳なんです。」

ニッコリ悪戯が成功した子供のような笑顔を見せる観月に
それ、驚かすじゃなくて『騙す』だよ!!と私は心の中で突っ込んでいた。

「そ、それで、私はどうなるんでしょう?」
「クリスマスはの両親にご挨拶できたので、今回は僕の両親に
 を紹介したいと思いまして、迎えに来たんです。」
「あっ…あっ!でも、観月くんち、今忙しい時期でしょ。
 また今度にしようよ!!」
「大丈夫です。さぁ、時間が勿体無いですから行きましょう。」

NOを言い続ける私を軽々持ち上げると観月は車に押し込んだ。
私は正月早々、観月に拉致された。





長時間の車での移動で疲れきった私は観月の家の門をくぐった
あたりからウトウトしていた。門をくぐって10分ほど走っているのに
未だに車は家に着かないのだ。

「、もうすぐ着きますよ。」
「ん・・・?!こ、ここぉ?!」

茂みといか、森の中に見えてきた大きな和装の建物。
その大きな館の前で車は止まり、観月は車を降りて私の手を引いた。
車の中から見た景色と今現在見えている景色という風景に
私は車を降りた直後、しっかりと固まった。

館の入口まで続く道の両端には、びっしりと総勢100名ほどの
人々が私たちをイヤ、観月を出迎えていた。

「おかえりなさいませ。」

その場にいた全員の声が重なり、一斉に頭が下がった。
ちょっと、怖い。
私は思わず、隣にいた観月の腕にしがみ付いていた。

「んふっ。大丈夫ですよ、。」

そういうと、しがみ付いていた私の手をみて笑みを浮かべ
頭の下がっている人々の間の道を歩いていったのだった。


まず通されたのは、広くて綺麗なお座敷。
私は観月と、彼の両親と会う為に正座で並んで座っていた。
部屋には立派な掛け軸が掛けられており、生け花が飾られており、
窓から見える景色は、手入れの行き届いた日本庭園で、
観月が違う世界の人に感じられる理由が理解できそうだった。

「、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」
「いや・・・緊張するよ。」

緊張なんて、久しぶりに味わった。というか、コレ緊張?
殆ど、恐怖体験のような気もしないことない?
なんで正月早々、こんな怖い思いしなきゃならないのよ!
あーのヤツ、恨んでやるから〜!!
顔は緊張しているような表情を保っているけど、極度の緊張で
心は既に泣いてます。あわわ。。。。

そんな事を考えていると、入口で声がして、襖が静かに開いた。
入ってきたのは観月そっくりの綺麗な女の人、多分母親と
オジサマと呼びたくなるほどカッコいい男性、多分父親。
二人とも日本の伝統衣装つまり着物で現れた。
お正月とはいえ、と思ったがココは老舗の旅館だった。

「、紹介します、僕の両親です。」
「よく来たね。さん。会えるの楽しみにしていたよ。」
「ホント、遠いところ良くいらっしゃいました。」

観月の両親は身なり以外は、意外と(?)普通の人格の持ち主で
観月はどうしたらこんな偏狂な子に育ってしまったのだろうと感じた。
慌てて私も挨拶をして返すと、観月が私との出会いや現在の事を
全て彼視点で話しはじめた。彼視点であるが故、ほぼ間違っている
コトは忘れないで頂きたい。自分の事を悪く言われているわけでは
ないので悪い気もしないが、事実を伝えて欲しいものだった。


「・・・と、いう事で、卒業したらと結婚したいのです。」
「・・・はい?」

色々な事を考えながら、観月の話に『作り微笑』で相槌を打っていると
話が急展開を起こしていた。今日は驚いてばかりで慣れた気がしたが
コレにも驚いた。しかも彼の両親は既に嬉しそうに頷いている。
「着物が良く似合うから女将も勤まるわ。」
「はじめ、さんを大切にするんだぞ。」
なんてコメントまで添えられていた。慌てて自分には結婚の意志が
ない事を伝えようとしたのだが、いいタイミングで襖が開き、
やはり旅館が忙しいようで、彼の両親は「すまないね。」
「またゆっくり話しましょう。」と言い残すと仕事に戻っていった。


パタンという音が聞こえて襖が閉まると私は観月に向き直り
彼の胸倉を掴んだ。本来なら首絞めてやりたい。

「み、観月くん?!何、一人で決めてるのよ!!」
「一人ではありません。これからはと一緒です。」
「これからじゃなくて今の問題!!それに私の幸せは?」
「は僕と一緒になることが一番幸せになれるんですよ。」

そういって胸倉を掴んでいた私の手を取って観月は立ち上がった。
私も引っ張られて一緒に立ち上がる。

「さ、今回は僕の部屋をに見せてあげましょう。」
「・・いい、行きたくない。」
「の写真を拡大刷りして貼ってあるんです。」
「な、何それ、いつ撮ったの?!」
「見ますか?」
「見る、つーか剥がすっ!」
「では行きましょう。あっ、はがしても何枚もありますから♪」

良い様に丸め込まれた気がする。。。私は観月の部屋に行くことになった。
彼に手を引かれて歩き出そうとすると、慣れない着物で長時間正座して
いた事もあって、足がしびれてしまっていたようで、ガクンと膝が崩れ
その場に座り込んでしまった。

「?」
「足、シビレちゃったみたい・・・」
「・・・しょうがないですね。」

座る込んでいる私を軽々いわゆるお姫様抱っこで持ち上げると
悠々と廊下を歩き出した。そして私は新年早々一番聞きたくない
言葉を聞くことになったのだった。

「、このままBEDに運びましょうか?」

「いっ、イヤ〜!!」

廊下に響く私の声が、私の頭なのかで反響していた。

END



いつもお世話になっている皆様に愛を込めて、お年玉代わりに観月ちゃんドリ書かせて
頂きました。笑いを込めるといいながら、こう云うときに限って笑いが浮かばない。
今回は、毎回観月ドリ内で人気の二人にもチョビットだけ登場して頂いてマス(笑)。
そういえば、青学all未だにクリスマス終ってないのに、観月ドリ書いちゃったよ〜!!
ゴメンナサイ。偏愛ですね。メインより変態愛(と書いて観月愛と読む)が好きみたい。
今回もこちらのドリはfree dreamとさせて頂きます。ご自由にお持ち帰りください。
飾ってくださるなんていう、サイトさまはお知らせいただけたら嬉しいです。
涙流して押しかけます!!
それでは、様にとって今年一年が素敵な年になりますようにお祈りいたします☆
03,01,01 Makoto Fujitake