☆X'mas Free Dream 2002☆
彼とのクリスマス


観月'S SweetHeart: さん



学校の寮が入寮禁止の時期がある。
それは、殆どの生徒が帰宅する年末年始やお盆にあたる。
今年も2学期の終業式が終った2日後に入寮禁止となる。
その為、も実家に帰っていた。入寮禁止の間は殆どの
子が実家に帰っているため、部活に通うのが大変な生徒も多い。
そんな事から入寮が許される日までは部活動も行われない。

だから・・・彼だって金沢に帰っているはずだ。

『クリスマスを一緒に過ごす』そんな事を言っていたが
観月はデートの約束など一切言ってこなかった。それに、
私の実家と観月の実家では距離がある。なんせ彼の実家は
金沢。でもって、家が大きな老舗旅館で年末年始は色々と
忙しいはずだ・・・つまりクリスマスは晴れて一人!!
こんなにも嬉しいクリスマスは久しぶりかもしれない!!

そんな事を思いながら私は実家へ帰るためにトローリーを
引いて駅へ向かっていた。

「おっ!じゃないか?」
「あっ、バカ澤だ。バカ澤も今日帰るの?」
「俺は明日、観月と一緒にな。」
「そーなんだ。」

途中であった赤澤に声をかけると、観月と一緒に帰ると言っていた。
赤澤も金沢の方なんだ・・・なんて思いながら実家に帰り数日・・・

クリスマスイブ、つまり今日。12月24日。

私の機嫌は最高に悪い。

朝、母親にたたき起こされ何事かとパジャマのまま玄関に
行くと目の前にある大きなリボンの付いた段ボール箱に驚いた。
母曰く、朝起きたら玄関のところに置かれていて、
たまに中からゴソゴソ音がするらしい・・・、
微妙に中身が分かってしまう私はなんだか哀しい。

そういえば昨夜、マー助(愛犬)が吠えていたなぁ・・・
なんて思い出しながら妖しすぎるダンボール箱を
どう始末するべきか、私は眠い頭を働かせた。
そして、部屋に急いで戻って赤澤に電話をかけた。
「ただいま電源を切っているか、電波の届かない・・・・」
しかし聞こえてきたのは無声の機械音。
赤澤はどうやら、逃げたらしい・・・つまりこの事を知っていた?
・・・観月は今日まで赤澤の家にいたのね?!裏切り者ぉ!

「やっぱり赤澤なんか嫌いよ!!もうイイ、次、そう次よ、次!」

そう言って木更津に電話をかける。が、なんとなく怖いのでcallする
前に切り、あまり役に立ちそうにないが柳沢にかけるが、やっぱり
役に立たなくて、金田にかけると実家が遠いのですぐには
来られない・・・最後に残った裕太にかけるとゴメンナサイを
連呼され、私はあえなく引き下がる事になった・・・。
そういえば、野村に掛けるのを忘れていたけど。。。まぁいいか。

そして今私は着替えを終え、大きなリボンの掛かった、人が一人
入れそうな段ボール箱の前にいるのである。そしてこのダンボール
箱の始末方法を考えていた。

1.粗大ゴミに出す
2.火をつけてこの場で燃やす
3.ダンボールの所々に空いている空気口を閉じる
4.あえて気付かない振りして過ごす
5.・・・後が怖いのでとりあえず開けてみる

私は大きなため息を付きながら『5』を選択した。


「メリークリスマス!!myハニーvv」

大きなリボンをほどくとパカパカと箱が開き、中から想像通り
観月はじめが現れ、私に飛びついてきた。

「ギャッ?!」

飛びついてくる観月を私も慌ててよけると、観月はそのまま
私の後ろにいた母親に抱きついた。突然の事に驚いた母は
そのまま気を失って倒れてしまった。

「おっ、お母さん?!」
「お母様、大丈夫ですか?!」

ドサクサに紛れて観月も「お母サマ」などと呼んでいるが、
倒れた母を部屋に運ぶのが先だった為、気にしていられなかった。
私と観月の声に家の中にいた父が気付いて玄関に来ると
母を抱き上げて寝室に運んでいった。数分して寝室から出てきた
父が大丈夫と言うので、とりあえず元凶をどうにかすべく
私は立ち上がった。とりあえず、、、部屋に連れて行くと
襲われかねないので、リビングに観月を連れて行こうと考えて
いたのだが、「僕、の部屋を見てみたいです。」という、
観月の一言で私の部屋に行く事になった。


「ここが私の部屋。普段寮生活だから使ってないけど。」
「寮の部屋もそうですが、の部屋はピンク系統なんですね。」

観月の一言に私は固まった。今、何て言いました?寮の部屋も?

「チョット待った!なんで私の寮部屋まで知ってるのよ?!」
「情報提供者がいるんですよ。その人に頼んで写真を撮って貰いましてね」

写真ですと?!一体誰が・・・・?!

「・・・か・・・。」
「いえ、サンではありませんよ。」
「あれ?何でちゃんのほうになってるのかな?
 私は違うを思い浮かべていたんだけど?」
「計りましたね?」
「滅相もない。」
「まぁいいでしょう。」

ってアンタはよくでもアタシが嫌よ!!
そんな言葉は怖くて言えなくて、寸前のところで飲み込んだ。

「せっかくのクリスマスイヴですからね。出かけませんか?」
「どこへ?」
「色々あるじゃないですか、この時期のデートスポット。」
「イルミネーション、見に行くの?」
「よく分かりましたね。」
「・・・どうしようかな〜寒いし。」
「行きますよね?なんならココで温かく過ごしてもいいんですけど。」

観月の言葉に思わず身の危険を感じた。

「行く!行く!行きます!行きたいです!!」
「そうですか?では参りましょう。」

近くに架けてあった私の真っ白なコートをとり、観月は差し出してくれた。
こう云うところは紳士だと思う。

「ありがとう。」
「いえいえ。」


階段を下りて父親に出かけてくる事を告げ、玄関を出ると、
先ほど観月が隠れていたダンボールがなくなっていた。

「あれ?観月くんの箱がなくなってるよ?箱男、観月くん。」
、僕は箱男じゃありません。さっきの箱は
 邪魔になるといけないので赤澤に撤去させておきました。」

かなり前から邪魔だったんですけど!
この言葉も怖くて言い出せず、やはり寸前のところで飲み込んだ。
そして赤澤がグルだったことを確信した。


私と観月はクリスマスムードで盛り上がる街で買い物をしたり、
食事をしたりして普通のカップルと同じような事をして
1日を過ごした。そして日も落ち、街がライトUPされる頃、
大通りに出ると、こちらも街路樹に飾り付けられた電球が
灯っていてなんともロマンティックな光景だった。

「綺麗ぇ。」

ため息を付いてしまうほど綺麗な光景に私はうっとり呟いていた。

「そうですね。と一緒に見ていると特に心に残るような気がします。」
「・・・写真に残したくなるような光景だよね。」
「一緒に写真撮りますか?」
「ううん、写さないの。だって写真にしたら勿体無いもん。
 こんなに綺麗な風景は心の中にとどめておいた方が
 ずっと先まで素敵な思い出になるよ、きっと。」
「そうですか。一緒に写真取れると思ったのに残念です。
 でものそういう所、好きですよ。」

カップルばかりのスポットで綺麗な笑顔でそんな事を言われると
少しヤバイ。観月の言葉に私は一瞬ドキッとした。そして、観月が
なんとなく普通にカッコいい人に思えてしまった。
慌てて視線を空に向けると、白い粉が舞い落りてきた。

「あっ、雪だ☆」
「ホントですね。、寒くありませんか?」
「大丈夫だよ。」
「そんな事言って、こんなに冷たいじゃないですか?」

観月は私の手をとるとそう言って大きな手で包み込んだ。
そしてその手を観月は自分のコートのポケットに入れ、
私の手を強く握り締めてきた。少し驚いたが観月の温かさが
伝わってきて、なんだか嬉しくなった。

何故だろう、さっきから観月はじめと云う人がやさしく思える。
本来、こう云う人なのだろうか?そんな疑問が私の中で生まれた。

「そうそう、にプレゼントがあったんでした。」

観月のその声で私の思考は現実に引き戻された。

「何?(観月自身じゃないでしょうね・・・)」

「決まらなくてですね、3つあるんです。」

照れたように観月が話し始めた。

「ひとつめはコレです」
そういって出てきたのは手のひらに乗ってしまうほど
小さなもので、中身は見えないが綺麗にセロハンで
ラッピングされていた。

「ふたつめはコレです」
そういって、腕に掛けていた紙袋から綺麗な包装紙
で包まれた紙袋を取り出した。大きさは紙でいうとB5くらい。

「みっつめは・・・僕自身です。」

蝶ネクタイを締めながら観月は3つめのプレゼントを明らかにした。

「・・・・・一つ目と二つ目の中は教えてくれないの?」
が付けてくれるというのなら教えてもいいですが、、、」
「付ける?」
「はい、付けるものです。」
「???」
「オススメは3なんですが、1と2は捨てがたいいんです。
 ゼヒに付けて欲しいんです。」

観月の言葉に私は少々頭を悩ませた。
『付けるもの』とは一体何か・・・?
1つ目はなんとなく分かる、アクセサリー系できっと指輪か何かだろう。
でも分からないのが2つ目。一体何が入っているのか微妙な線だった。
すずめの葛篭じゃあるまいし、大きさが違うもの用意しないで!

「どちらがいいですか?」
「・・・私準備してないんだけど。」
「いいんです、僕の気持ちなんですから。両方とも貰ってくれますか?」
「えっ?駄目だよ、それじゃ」
「じゃあ、これで」

驚いて顔をあげると目の前が陰になって、私の唇に観月の
ソレが重なっていた。

「貰っていただけますよね?」
「あ・・・ハイ///////////」




家まで送ってもらうと、時間は12時を越していた。

「メリークリスマス

そう言って、今年のクリスマスイブは観月と過ごし、
一緒にクリスマスの日を迎えた。。。
こういうクリスマスになるとは思ってもみなかったが、
今日は思った以上に楽しかった。来年も…一緒なのかな?




オマケ?

部屋に戻った私は、観月に貰ったプレゼントを開けてみた。
小さい方は香水で薔薇の香りだった。驚いたのが、
調合は観月がしていて、香水の名前は『』と書かれていた。
なんだか恥ずかしい気持ちになりながら、私はありがとうと呟いた。

そして気になっていた紙袋を開けた瞬間。
今までの素敵観月はどこへやら、いつもの変態観月を思い出していた。

「何よ、コレ―――――――!!」

思わず叫んだ私が手にしていたのは、真っ赤のレースのランジェリー。
やっぱり、観月はこういう人なんだと、私は深く胸に刻み込んだ。
当分、彼には近付かない。


END



いつもお世話になっている皆様に感謝の気持ちを込めて、クリスマスプレゼント
として、観月ちゃんドリを書いてみました☆感謝の気持ちがホントに込められて
いるならどうしてこんなオチなんですか?!という突っ込みはなしで!
彼を扱うとこんなんだなと。。。今回はクリスマスですし、観月ちゃんを素敵に
仕上げてみました(多分)。こちらのドリはfree dreamとさせて頂きます。
ご自由にお持ち帰りください。飾ってくださるなんていう、サイトさまは
お知らせいただけたら嬉しいです。涙流して押しかけます!!
それでは、様にとって素敵なクリスマスになりますように☆
HAPPY CHRISTMAS!!
02,12,12 Makoto Fujitake