相互リンクしてくださった長南ゆみえさまに捧げます。
言い出せない理由


観月'S SweetHeart'S Friend: さん



「赤澤発見っ!」
「…ん??」

その声に答えるように俺は顔を上げた。
と同時に首に[ガンッ]と云う衝撃が走り息が詰まった。

「…っ!!」
「やった☆決まった!」
「〜、『やった☆』じゃねえ!死ぬだろが?!」

観月の彼女の親友・は観月と仲が良い。というのは
観月の彼女であるをハメル為に日夜企みをしてるからで、
に泣かされている話も聞く。つまり観月とタッグを組める
ルドルフ最強のオンナ。ソイツが廊下でいきなり俺にタックルを掛けて来た。

「馬鹿が直るいい機会になるでしょ?」

しらっとそういうとケラケラ笑いながら去っていく。ははっきり云って
迷惑なキャラなのだ。何かと俺を企みに巻き込み、観月との間で
オドオドしている俺を笑う。でも最近それが嫌じゃなくなった。
遊ばれているのは気にいらないがは笑うとホントいい顔になる。
あの笑い声はやっぱりムカツクけど、聞いていると安心すると云うか。
慣れたのか?(笑)そんな事を恥ずかしながら思っていると
[これが恋かしら?]が頭の中で流れ出した。
観月がに執着するように、俺もを好きなのかもしれない。

「観月。、何処行ったか知らないか?」
「さぁさんの事は知りませんね。なら分かりますが
 赤澤に教えるつもりはありません。」
「…聞いてねぇよ。」

は観月と同じクラス。俺はと同じで、
のもとにやってくるを特に気にした事もなかった。
観月がを好きになるまでは。
への自分の気持ちに気付いたのは観月とのおかげである。
しかし、感謝するとが浮かばれない気がするのでしないでおく。

「金田。見なかったか?」
「大橋先輩ですか?<さっき購買で見掛けたよ。>と
 言えと言われました。」
「で?ホントは?」
「いくら部長にでも言えません。俺、先輩のにのまえには
 なりたくないんです。」
「…そ、そん時は助けてやっから。」
「今まで部長が先輩を救えた事ありました?絶対嫌です!」

廊下で見掛けた金田に声を掛けたら、振られた。
俺はしょうがなくが行きそうな場所を転々としてみた。

「おっ!木更津。」
「なんだバカ澤じゃない?何?僕によう?
 馬鹿が移るから軽々しく声掛けないでくれない?」
「悪かったな!ところで見なかったか?」
「?さっき屋上に上がって行ったけど。告白だったみたいだったけど
 アレは激沈だろうから。そろそろ行っても大丈夫なんじゃない?」
「ありがとな。」

告白。
は明るく元気のある為、女にも男にも友達が多い。
つまり好かれやすく俺が知ってるだけでも今月になって
三人の告白を受けている。今日ので四人目だ。

屋上への階段を上っていくと屋上にはでないで階段の一番上に
が座っていた。俺の姿を見つけると唇に人差し指を立てて
「シッー」と促した。どうやらまだ最中らしい。

「またか?」

そう小声で話し掛けるとはコクンとうなづいた。

「あっ赤澤!これ以上近づかないで!」

屋上に出ていくこともできないのでの隣に腰掛けようとすると
は俺を払いのけるような動作をした。ついにまで俺を
そんなふうに扱うのかと思うと少し沈んだ。それを理解したのか
は「違う違う」と連呼した。

「あまり近づくと観月がくるから!」
「……解った。」

俺は観月のしぶとさをつくづく迷惑だと感じた。
しかしどうやってアイツ(観月)はに近寄る男をチェック
しているんだ?そんな事聞くのは恐ろしいが、に言い寄る
ライバル達は知っておきたいもの、今度尋ねてみよう。
そんな事を巡らせていると屋上のドアが開いて一人の少年が
出て来た、心底青い顔をして。木更津が言っていたように
振られたんだろうと思うと少し心が弾んだ。

「あっvv こんな所にいましたか?!」
「っわ、み、観月ちゃん!」

観月のいきなりの出現に声をあげたのは。
そして今屋上から出て来たばかりの少年も絶叫をあげた。

「ご、ごめんなさい!!」

そう言うと階段を一気に駆け降りて行った。
観月に何かやられたことでもあるのだろうか?
でもまぁ以外に興味のない観月の事だから覚えてないだろうけどな。

俺もも観月も意味が解らないと云う顔を見合わせた。



ガチャ


屋上への扉のノブの回る音がしてが顔を出した。

「何みんなしてアホ面してんの?」
「さん、アホ面なのは赤澤だけですよ。」
「そうそう!私は違う!」

は観月とに呆れた顔をして「で?」と言った。
観月が会話に参加すると話が進まないので俺が話すことにした。

「おまえ、さっきの奴になんて言って断ったんだ?」
「なんで?」
「観月を見て怯えてた。」
「観月ちゃんが何かやってるんじゃない?」
「失礼な!僕は以外興味ありません!」

だから覚えてないんだろ?なんて思ったらがクスクス笑い出した。

「そうだね。観月には覚えないよね〜。だって私が言ってるだけだし。」
「どういうこと?」

が問い掛けるとはまた笑いながら答えた。

「好きじゃないから断ったのに「これから好きになる」とか、
 しつこいからさ、私に何かあると観月が黙ってないよ!って言ったの」
「…どういう意味ですか?僕は貴女の事に口出しなどしませんよ。」
「しなくていいのよ!何かあったら自分でどうにかするし♪いつも
 手助けしてあげてるでしょ?名前くらい使わせなさい!
 あんた悪名高いんだから!」
「そんな事言われてもですね、初めは助けて頂きましたが
最近は貴女の楽しみのひとつじゃないですか!?」
「観月ちゃんそんな事言うんだ。の親友が困ってるんだよ?
 が知ったら観月の事批難して嫌いになるわ!」
「そ、そんな事!?」
「ねぇ?」

に話を振るとは苦笑いを浮かべた。
どちらに付いても立場はどちらも悪い事には変わりないのだから。

それにしても今回の事では観月より強いような気がしたは
俺の思い違いではないはずだと確信できた。
益々告白までの道程は遠い気がする。

俺が少しでも忍耐強くなるか、が少しでも悪知恵を働かせない
ようになるまでは、告白なんて恐ろしくて駄目だろう。


END



相互リンクしてくださった長南さまに捧げる赤澤ドリでした。
長南さま、赤澤ってこんなキャラですか?藤岳にはこう見えるんです。
もっとカッコイイはずなんですけどねぇ。難しいキャラでした。
今回観月ちゃんの恋人の親友役を赤澤の片思いの相手にしました。
理由っすか?それは、いつも観月ちゃんに使われている駄目な赤澤をもっと
情けなく書きたくて(笑)。というのも一理ありますが、赤澤ドリは、
あんまし書きそうにないのでこれ以上シリーズを増やさないようにでした。

ここまで、お付き合いしてくださった様本当にありがとうございました。
感想など頂けましたら喜びますのでBBSへカキコをヨロシコです。
2003.02.26 makoto fujitake