メインカウンタ33333HITER 真部澪さまに捧げます。
彼との日常


観月'S SweetHeart:さん



多分どの教科の中でも一番つまらないであろう数学の授業中、
それは着た。スカートのポケットを振るわせる携帯電話。
先生の見つからないようにこっそり着信を確認すると、
一応彼氏である、『観月はじめ』からのメールが届いていた。

『クリスマスプレゼントにmyハニーは何が欲しいですか?』

メールを思わず見て愕然とする。クリスマスは観月と過ごす事に
なっているようだ。クリスマスといえば恋人たちの最大のイベント
でもある。そんな日だから当たり前だと思うのだが、違うのだ。
私は他の誰かと過ごしたい。いやそんな贅沢はいらない、観月がいな
ければ一人でもイイなどと考え出していた。それにはいくつか理由がある。

まず、一応彼氏という<一応>と言うところがそうだ。
なぜ一応かというと・・・私と観月の付き合いだした日、
あの悪夢の月曜日を振り返りながらお話ししよう。


あの日は朝のSHRが始まる10分ほど前に教室に着いた。
周りに挨拶を交わしながら自分の席につくとクラスメイトの赤澤が
後輩の不二裕太と共に私のもとにやってくるなり、頭を下げた。
「すまん、。」
「イヤ、許さない。」
先輩、ご迷惑お掛けします」
「裕太の頼みならしょうがないかな。」
差別だ...という赤澤を無視しながら私は裕太と話す事にした。
「それで何、迷惑かけるつもりなの?」
「えっと、それはですね…。」
あまりにも言い出し憎そうな裕太の態度に嫌な予感がした。
と、廊下で聞こえる黄色い悲鳴が近づいてきて教室の扉が勢い良く
開き、そこには下級生らしき女の子に囲まれた観月の姿が会った。
さん。」
「何、観月くん?」
「僕と付き合ってください。」
「は?」
その時私は、驚いて言葉を無してしまった。面食らった顔で赤澤と
裕太に視線を移すとなぜだか必死に拝まれていた。とっさに
さっきの迷惑掛けるの迷惑はコレかと理解した。しかしその前から
返事は決まっている。私は「NO」の返事をした。
真っ青になる赤澤と裕太。裕太にはちょっと悪い気がした。
「そうですか、ではさんから付き合ってくださいと言って
 いただける様に努力してみます。」
そう言って、何事もなかったかのように彼は静かに去っていった。
しかし彼の場合その努力の方向がズレているのである。それを知ら
なかった私はこの直後多いの後悔する羽目になり、奇しくも自分から
交際を申し込むはめになったのは現在の状況から言うまでもないだろう。
まぁその彼の努力については思い出すだけでもオゾマシイのでいつか
語るべき時が着たら語ろう。今はまだその勇気はない・・・。
と、いう事で私は認めていないのである。そのための「一応」。


そんな悲劇の月曜を思い出しているともぉ1通Mailが届いた。

『僕自身でも構いませんよ。』

欲しいものは沢山あるが彼だけは貰いたくない。つーか欲しくない。
私は先生の目を盗んで机の下でMailのレスをする。

『観月くん以外で』

送信ボタンを押してポケットに携帯を戻すとすぐに再度ポケットが
震えた。短いバイブにメールの着信と判断すると差出人は決まってくる。
観月はじめだ。取り出してメールを開けると本文にはこう書かれていた。

『僕はがいいです。』

…そう来るとは思っていた、ヤツならそう来る気がしていた。
しかし私の中で一瞬時間が止まった。そして手にしていた携帯を
うっかり落としてしまった。

さん、これは預かります。放課後職員室にいらっしゃい」
落とした携帯を先生に拾われ取り上げられる。普通なら非常にイタイ。
しかし私は謝るどころか「センセありがと!」とお礼まで述べていた。
だってあのMailにどんな返事を送れって?その言葉が見つからない!



、災難だったなぁ。」
数学終了後、赤澤が私のもとへやってきた。
私が観月と知り合うきっかけ…いや、きっかけなどという言葉は勿体無い。
原因とでも言っておこう。大体赤澤さえいなければ、テニス部に関わる
事なんてこれぽっちもなかったのだ。

「誰のせいよ!」
「・・・観月か・・・」
「アンタもよ、アンタも!!」


そうアレはあの悪夢の月曜日の二週間くらい前だった。
日直の仕事をサボって部活に・・・いやもしかすると彼(赤澤)も
被害者の1名なのかもしれないが、私の悲劇の原因とも言える
やはり彼には被害者などという考えは勿体無いと思う。
日直の仕事をサボって部活に行ってしまった赤澤をクラス担任に
頼まれ呼びに行ったのだ。テニスコートに向かう途中、
大きな物音をがして、ナンダナンダと音のしたほうに駆け寄ると
散らばったテニスボールとその中央に一人の少年が倒れていた。
慌てて駆け寄り、助け起こすと近くにいた部員に手伝ってもらって
テニス部・部室のソファに運んだ。部員の一人が倒れていた少年が
補強組のひとりでテニス部マネージャーの観月はじめだと教えてくれた。
そこで私ははじめて観月の事を知った。ちなみに教えてくれたのは
裕太。彼が部活中なので部活に戻りたいが観月が心配だから行きにくい
というので、私が彼らの代わりに観月が起きるまで側にいて
看病する事にした。看病といっても貧血で倒れただけの観月に
特にする事もなく、タオルを取り替えてやるくらいだった。

少したって小さな声が漏れ、観月が目を覚ました。
「大丈夫?観月くん倒れたんだよ。もう少し横になってた方がいいって。」
無理に起き上がる彼を支えると彼は私の手を払った。
「大丈夫です。」
そういうとソファから立ち上がり覚束ない足取りで部室の扉へと向かった。
危ない足取りにスグにでも倒れそうだと思っていると案の定、彼の体が
大きく傾いて私は慌てて彼の身体を支えた。
「だ、大丈夫じゃないでしょ?!」
そう言って彼をソファに戻し、少しキツク言い聞かせた。
「観月くんマネージャーなんでしょ?マネがムリして皆に迷惑掛けちゃ
 ダメだよ!って言ってるそばから起きないで!!」
「迷惑なんか掛けてません。それに貴女一体何なんですか?」
「私は。あのね、迷惑掛けてないって言うけど、さっき倒れた
 のだって運んでくれたのは部員なんだからね。この際、帰って
 休むかもう少しここで横になってるかどっちかにして!」
そう云うと観月は驚いたような表情を見せた。
「・・・わかりました。寮に帰って休みます。」
「そう?それじゃ寮まで送って行くね。一人だと心配だし。」
有無を言わせない口調で伝えると私は立ち上がり扉に向かった。
さん…どこに行くんですか?」
「ん?鞄取りに教室だけど。それに観月くん着替えるでしょ?」
そう言いながら振り返ると観月の寂しそうな瞳が目に入った。

一緒に帰って彼を寮の部屋まで送り部屋を出ようとすると
観月は再度寂しそうな瞳を私に見せた。帰るに帰られず、
私は彼と少し話した。彼が眠るまで側にいて、栄養のあるものを
つくり、そっと部屋を出た。予定よりかなり帰宅が遅くなったが
人助け・イイ事と思ったらなんともなくいい気分で一日を終えた。
次の日廊下ですれ違った彼に具合を尋ねるとゆっとりした笑顔で
さんにはご心配お掛けしました。ありがとうございます。」
なんて言われ気分は絶好調。それから何度か話す事が増えた。しかし
彼と出会うのは大抵体育の前か後で更衣室を出た直後に会う・・・
またはお弁当を作っていった日は必ず教室に来ていて
さんの手料理って美味しいんですよね。」
と言って食っていく。まぁ、後者は褒められているし嬉しいから
いいのだが、前者ははっきり言って微妙な線。着替え
覗いてないよね?と聞きたくなる。と、これだけなら
一日一善として私の中でイイ思い出で終るのだが、なぜか
彼に好かれてしまっていて二週間後告白を迎えるのである。
今思えば、彼を寮まで送らなければ良かった、イヤ、彼を
助けなければ良かった。

「はぁ〜そのうち観月がやってくると思うけど…」
「呼びましたか、myハニ〜vv」
大きく溜息を付いたと同時に教室のドアが勢い良く
開け放たれ観月が現れた。
からMailの返事が来ないので心配でやってきてしまいました。」
「…ゴメンネ。授業中に観月くんとMailしてるのバレちゃって、
 先生に没収されちゃったんだ・・・・。」
悪魔でも申し訳なさそうに言い潤ませた瞳で観月を見上げた。
っ!!寂しい想いをさせてしまいましたね。
 僕達の仲を裂こうだなんて、おのれ、錦見(数学教師)。
 、待っててください。僕らのホットライン取り返してきます!」
勢い良く教室を飛び出していく観月の後姿を見送って私は
再度大きな溜息を付いた。
、大変だな。」
「そうよ、逆らうとセクハラされるし!」
「・・・セクハラ?」
「そう、セクハラ!!この間裕太と二人で話してたら」
「話してたら?」
「部室で『僕の愛が足りなかったんですね』とか言って押し倒してきた。
 あの時は貞操の危機を感じたわ。。。。」
「・・・ハハハハハハ」
「その日から裕太は裕太で『先輩とは二人きりで話せません』なんて
 言われるし。私も観月の呼び出しには気をつけるようにしてるの。
 あー何でこんな事になってるのかしらねぇ、赤澤くん。」
嫌味をたっぷりこめて赤澤を見ると目を逸らして一言言われた。
「まぁ、頑張ってくれ。」
「バカ澤なんか嫌いよ!!」
「それでいい(好かれたら観月が怖い)。・・・そういえば
 さっきの観月からのMail、どんなんだったんだ?」
「クリスマスプレゼントに何が欲しいかって話。」
「・・・もぉいい。分かった。」
「そう?」
そう言うと私はカタンと音を立てて椅子から立ち上がり、
教室を出て行こうとした。
「おい、。授業始まるぞ。」
「分かってる。携帯取りに行くの。遅刻するから先生に適当に言っといて。」

授業開始のチャイムを聞きながら廊下を進む。
なぜ自ら取りに行くかって?そりゃあ、私自身を守る為。
ここで「ありがとう、観月くん」って言っておけば、
「愛が足りなかったんですね」と言われまた襲われる事はないだろうから。
そう自分自身に言い聞かせながら職員室へ向かうと観月が反対方向から
歩いてきた。その手には私の携帯電話が握られている。
「あっvvっ♪取り戻してきましたよ♪」
「観月くん、ありがとうっ。」
私は笑顔を浮かべ、頭の中で立てた台本通りの言葉をつむぐ。
「いえいえ、当たり前の事をしたまでです、彼女を、を悲しませるなんて
 僕にはできませんから。愛していますよ、。」
「うん・・・でもありがとね。」
念には念を、もう一度嬉しそうにお礼を言って私は彼に微笑んだ。
、お礼なんてとんでもないです。僕はが笑っていてくれる
 だけで嬉しいんですから。でも、がどうしてもって言うんでしたら」
「へ?」
「今回のお礼にを貰いましょう。」
「は?」
「さっ、授業中ですからね、部室でも行きましょうか?」
「えっ?!なっ、何?ってか何で腰に手を回すかなぁ観月くん。」
「それではお姫様抱っこにいたしますか?」
「そうじゃなくて、、、、、イっ、イヤぁ〜〜〜〜〜〜!!」

結局この時の授業に私が教室に戻れる事はなかった。
こうして彼との日常は過ぎていく。私の平安な日々を返してっ!


END



メインカウンタで33333HITしてくださった真部澪さまに捧げます。
当初のリクは英二VS岳人のアクロバティック対決(腹チラ対決)!だったのですが
ムリだぁ〜と言いましたら観月ちゃんでとリク内容変更していただいたので観月ちゃん
の恋人ドリを書かせて頂きました。エロ入れろとか言われましたがセクハラのトコを
書いたら裏一直線でしたので(笑)カット!こんな笑いドリ貰ってくれてありがとう☆
きっとこの続き書きます。というかシリーズ化しちゃいましょうかね?!

ここまで、お付き合いしてくださった様本当にありがとうございました。
感想など頂けましたら喜びますのでBBSへカキコをヨロシコです。
2002.12.05 makoto fujitake