彼とのどたばたヴァレンタイン
観月'S SweetHeart: さん 観月は毎日のように私と赤澤の教室にやってくる。 いや、毎日ではなく毎休み時間といったほうが正しい。 それは、もぉ慣れた。最初の頃は逃げ回っていた事も あったが、赤澤とか赤澤とか赤澤が、邪魔をするので 結局捕まるし、最近は大人しく教室にいることにしてる。 遊びにくると話したり、本を読んだりしていると 観月はいつのまにか会話に参加していたり、読書の時には、 ページを捲ろうとする私の手にさり気なく触れてきて、 「もぉちょっと待ってくださいvv」なんていう。 ホント、この辺は慣れた。慣れたくなんかないのに。。。 2月に入って、観月の様子がいつも以上に変になった。 それを追って話していこう・・・と思う。 2月1日 この日、教室で本を読んでいた私の元へやってきた観月は 「もぉ2月ですね。」といった。 そして、ニコニコと笑みを浮かべながら言葉を続けた 「2月は何があるか覚えてますか、?」と。 「2月?そういえば、卒業制作が始まるね〜。観月のクラスは何するの?」 「そーですね、僕達のクラスはビデオ制作をすることになったのですが 僕としては、との学生生活最後の思い出作りをしたいですね。」 「・・・そ、そうなんだ・・・。」 「ハイ・・・って!違います!」 「違うの?」 「いえ、思い出作りはしたいです、しますとも。2月と言えば イベントがあるでしょ?!僕たちのためにあるようなものが!!」 「?? 何かあったっけ?」 「・・・のバカぁ!!」 彼は私にそういい残すと走り出し、教室を後にした。 観月にバカ呼ばわりされた私は、とりあえず次の授業の準備をする事にした。 2月5日 「、僕の事愛してマスか?」 朝のSHRが終って担任が教室を出て行くのと入れ違いに観月が 入ってきて、教壇に立った。で、上の言葉。 「ハイィ?!」 私はガタンと勢いよく椅子を倒して立ち上がった。 クラスメイトは何も見なかったし、聞こえなかったと 1時間目の授業の準備をし、いそいそと教室を出て行った。 この日の1時間目は移動教室だったのだ。 周りを見ると赤澤もいない。私は観月と二人、とりのこされた。 「愛してますよね。」 「・・・い、いきなり何?」 「が僕を愛してくれているのはよく判っているのですが…。」 どこをどう解釈したらそういう結果に導かされるのか私には 判らない。勘違いもいいところだ。。。 そういえば、前に裕太が言ってたっけ・・・・ 『観月さんの場合、【嫌い嫌いも好きのうち】なんですよ』って。 そんな事を巡らせているとさらに観月は言葉を続けていた。 「忘れて欲しくないんです。僕も貴女を愛しているという事を。」 「・・・・観月。」 最近どうも真剣な彼の顔やクサイ台詞にドキリとするようになって しまった。汚染されつつあることは気付いているのだが、いつもの アホ観月とは全く違った表情をされると私はどうも弱いらしい・ 2月10日 「、SWEET OR BITTER ?」 「ん?チョコの話?ビターかな?あっでも甘いのもスキvv」 「そうですか♪」 「そうそう、此間連れて行ってくれたケーキ屋さんすっごくオイシカッタvv」 「はケーキが好きですね。ホント幸せそうな顔しますから。」 「女の子はそういうものよ。」 「僕が作ったら食べてもらえますか?」 「えっ?観月ちゃん作れるの?!」 「作ったらの話しです。」 そんなこんなの日々を過ごし、本日2月13日。 聖ルドルフの放課後部活は観月ナシで行われている。観月は 用があると言い、私を置いて授業が終るとすぐに学校を出て行った。 「裕太、今日何かあったっけ?」 「明日のじゃないんですか?そういえば先輩は観月さんに あげるんですよね、チョコ。」 「・・・やっぱり、あげなきゃダメ?」 「当たり前だ!!」 私と裕太の会話に割り込んできたのは赤澤。なんだか鼻息が荒い。 「お前はこの部を破滅させたいのか!」 「そのつもりはないわよ。裕太いるし。」 「じゃあ、義理でもなんでもいいからヤレ!やるんだ!! あいつは義理でもなんでも勘違いして喜ぶ!!」 そう熱弁を振るう赤澤を白い目で見てしまった。 「裕太、金田にこんなヤツ尊敬しちゃーいかんよって伝えといて。」 私は裕太に伝言を頼むと座りこんでクチャクチャになったスカートの 襞を直しながら立ちあがった。そんな私を裕太が不思議そうに見上げる。 「先輩?」 「裕太、明日、休んでイイ?」 「ダメです!!」「ダメだ!!」 裕太と赤澤の声が重なった。 「んじゃ、何かあったら助けてよ?」 「そ、それは・・・・」 「そうだなぁ・・・」 目を逸らしながら答える二人に私は本気で休もうかと思った。 「、明日どうすんの?」 寮の部屋に戻るとスグにがやってきた。 「明日?バレンタインのコト聞いてるの?」 「そうそう!!楽しみにしてるんだからあげなさいよ!」 「・・・わかってるよ。これから作る。」 「て、手作り?!」 「ん?そうだよ。男テニ全員分となると作る方が安いでしょ?」 「は?」 「別に私は裕太だけでいいんだけどねぇ。」 「ハイ?ちょ、ちょっと!あんた観月は?」 「観月ちゃん?いらないでしょ。毎年すごいらしいし。」 「そーゆー問題じゃない!!あぁ観月が可哀想。」 「可哀想ってアンタに言われたくないわよ。友を売るようなには!」 「それでも、可哀想。あー可哀想、可哀想。」 「・・・あ、あげるわよ。あげればイイんでしょ!!」 そういってを部屋から追い出すとキッチンでチョコ作りを 始めた。チョコを解かしながら、MDコンポから流れてくる曲に 耳を傾けていると、コンコンと部屋のドアがノックされた。 ドアを開けるとそこにいたのは数名の後輩。 しかし、今までに彼女たちとの接点はない。何事かと思うと 彼女たちは一斉に話し出した。 「先輩!!裕太くんって甘いの大丈夫ですか?!」 「先輩、木更津先輩の好きな人って知ってますか?!」 「観月先輩みたいな素敵な彼氏をGETできるような チョコを作りたいんです!おしえてください!!」 etc... そーゆー訳ね・・・。 理解した私はとりあえず、最後の子の言葉の誤りを訂正して 彼女たちを部屋に招きいれ話しを聞き始めた。 そして、数十分後。再度ドアがノックされ、入ってきたのは同級生の 女の子たち。彼女たちも後輩同様の用事。一緒になって話すこと2時間。 私は何故か観月への告白を応援されてしまった。 しかも、テニス部の面々にはあげないということも約束させられた。 私は皆が帰って静かになった部屋で、作りかけのチョコに向かうと 大きくため息を付いてしまった。 2月14日、 昨夜作ったチョコを持って学校に行くとテニスコート周辺は 女の子たちで凄い事になっていた。 その様子を遠くで見つめる私に気付いたのか裕太が助けを求めたが 裕太を取り囲んでいる女の子たちの中に昨日の後輩を見つけ 私はニッコリ微笑むと、そのまま校舎に向かった。 「、おはようございます。」 昇降口で待ちかねたような観月と会う。 「おはよ。観月ちゃん。」 「さっそくですが、帰りましょう。」 「ハイ?」 「せっかくのヴァレンタインなんですから二人きりで 過ごせる僕の部屋に行きませんかvv」 満面の笑顔で観月が言うので、私は引き攣った表情で 「・・・け、結構です。」と答えた。 「そういうわけにはいきません。」 そういうと観月は私が逃げないように手首をしっかり握り 私は今きたばかりの道のりを引き返すことになった。 テニスコート近くを通ったので目の会った赤澤に助けを求めたが 彼は慌てて目を逸らして部室に逃げ込んでいった。 ちきしょ〜。やっぱりバカ澤なんか信頼できないわよ!! 「ちょ、チョコレートケーキ」 観月の部屋に入るとチョコレートの甘い匂いがして、 彼は私に紅茶を入れると冷蔵庫からチョコレートケーキを取り出した。 「はい、がケーキが好きなのでチョコレートケーキを 作ってみましたvv」 「つ、作ったの?」 「もちろんですともvv愛の為に努力は惜しみませんvv」 「ど、どやって?!観月ちゃんホントに作れたの?!」 「先日を連れて行ったケーキ屋、実はパテシエが元うちの 厨房で働いていた料理人の店なんです。彼はお菓子系なら なんでも作れましてね。うちでは和菓子を作ってもらって いたんですが、洋菓子が専門なんです。」 観月家、恐るべし・・・さすが老舗の旅館、料亭! 観月家の威力に今回も驚いた。 「今回、の為に特別レシピを作ってもらいまして、 僕が初めて作ったんです♪」 そういって観月の幸せそうな笑みに私は照れくさくなった。 私は真っ赤になった顔を見られぬように慌てて俯いて鞄から 昨夜作ったチョコを取り出し、無言で観月に差し出した。 それをまた嬉しそうに受け取るものだから、恥ずかしくなった。 「では、のチョコと共にケーキ頂きましょう。」 切り分けられたケーキはリキュールの匂いがした。 「リキュール入ってるんだ。」 「はいvvお酒が入っているほうが色々といいんですよ。」 お酒がどうチョコにイイのかは知らないが、チョコ作りにはよく使われる。 私は深く考えないでケーキを口に運んだ。 ケーキは想像していた風味より、深いリキュールの味がしみこんでいた。 「観月ちゃん、チョットお酒きつくない?」 「そうですか?をケーキで酔わせようと思うとコレくらい。」 「は・・ぃ・?」 先ほどとは違った満面の笑みの観月に、私は危機を感じ 身体を後退させた。と、観月も私に一歩一歩寄り添ってくる。 「のチョコ、一緒に食べませんか?」 そう言って観月は私が先ほど渡したラピングをほどきながら 美しい笑みを浮かべた。私は先ほどの危機が今そこまで 来ている事を容易に察知した。しかし、その笑みがあまりにも 恐ろしくただただ後退するしか動けなかった・・・。 遠くで授業開始のチャイムが聞こえる。 今日は学校には戻れないかもしれない・・・。 このお話、メインは14日じゃないので(笑)。14日は今30分くらいで 考えたし・・・。はじめの方で笑ってくれればイイデス。(笑) 今年のヴァレンタインも壊れたなぁ〜。←いつも? 今回もこちらのドリはfree dreamとさせて頂きます。ご自由にお持ち帰りください。 飾ってくださるなんていう、サイトさまはお知らせいただけたら嬉しいです。 涙流して押しかけます!! 03,02,14 Makoto Fujitake
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