朝の時間
手塚's Young sister:手塚 さん 「、学校行くぞ!」 階段の下からまだ自室のベットの中にいるであろう妹の姿を 思い浮かべながら国光は2階へと呼びかけた。 国光と妹のは2つ違いの兄弟である。 国光が青学の高3でが都内の女子高に通う1年。 学校も違えば、登校時刻も違ってくる。それに、国光は 朝部活のために朝早く家を出るので一緒に登校など滅多に なかった。そんな事もあってか、国光が部活のない日は と一緒に家を出ると約束して言うのである。途中まで なのだがそれでも国光はその時間を大事にしていた。 部活がないと云ってもいつもより10分か15分、家を出る のが遅くなるだけであり、が普段起きる時間よりも まだ早い時間だった。その為が準備を終えて国光を 待っているなどということはなく、こうして起こすのが 日課になっている。早い時だって・・・ 「キャぁ――――――――!!」 国光の声のスグ後にの叫び声が聞こえてきて、部屋の中を バタバタ走る音がして、2・3分後に鞄を脇に抱えて階段を 駆け下りてくる。胸元のまだ結ばれていないリボンを揺らしながら。 「お兄ちゃん、どいてぇ!!で、もぉちょっと待ってて。」 は階段の下にいる国光に鞄を預けるとリボンを結びながら キッチンへ向かっていったが、ふいに肩まで伸ばした髪を 揺らしながら振り返った。 「忘れてた。お兄ちゃん。おはよ。」 ニッコリ笑みを浮かべそれだけいうとキッチンにいる母親に 挨拶をして洗面所に入っていった。 数分して準備を終えたが化粧室から出てくるのを見るたび 国光はいつも思ってたことがある。 ”いつから化粧してたんだ・・・” 薄っすらとナチュラルメイクをしたはキッチンに入って 母親からお弁当を3つ受け取って国光の待つ玄関へと戻ってきた。 の朝ごはんと昼ごはん、そして国光の昼ごはんである。 母親も毎回の事なのでこの日だけはの朝ごはんはお弁当を 作るのである。 「じゃ、いってきまーす!!」「いってきます。」 お弁当をそれぞれ鞄につめると、二人で家を出る。 家を出て、専ら話すのはで国光は完全な聞き手である。 バスに乗り、学校へ向かう。バスは通勤通学の人々で利用者が多く 二人はステップの近くに立つ事になった。ステップの上段にを 立たせ、国光は下段に立つ。いつもは見上げなければ見ることの できない兄の顔が正面にある、それがなんだかには嬉しかった。 ”お兄ちゃんカッコいいんだもん。これは妹の特権かな?” 本日二人の乗ったバスはにとってはいつもより2本早く、 国光にとっては3本も遅いものだった。時間帯のずれの所為か 窓の外を流れる景色がいつもと違って見える。 「最近少し寒くなってきたと思っていたが、もぉ秋なんだな。」 窓から見える紅葉し始めた木々を眺めながら国光が言葉を漏らした。 そんな兄には溜息交じりに答えた。 「また朝、起きれなくなるぅ・・・」 「だな。」 ふっと笑みを浮かべながら国光はの髪に手を伸ばし優しく梳いた。 「あっ、そういえば。お兄ちゃん、もぉすぐ引退だね。」 「ああ。今月いっぱいだ。」 「じゃあ、毎日一緒に行ける?!」 「が早起きすればな。」 「むぅ〜!起こしてくれないの?」 「いつも起こしているだろ。」 「そうだけど。大体お兄ちゃんは早すぎるのよ。」 は国光の右腕を持ち上げ顔の前に持ってくると腕に 固定された時計を覗き込む。 「これじゃ、学校に7時半には着いちゃうよ。」 そういうと、今度は国光の顔の前に持っていき彼自身にも 時間を確認させた。 「ああ、そうだな。」 「ほらね。」 クスクス笑っているに国光は頷くしかなかった。 その兄の様子にも満足げに頷き返した。 キィ――――――――――――――――――っ!! 笑い合っていると国光の耳に聞こえてきたのはバスの急ブレーキの音。 事態は良く分からないがバスが急停止しようとしていた。 国光の腕を放したばかりのは何も掴まっていなかったこともあり 急ブレーキの衝撃で大きく身体をぐらつかせる。 ”倒れるっ” そう思って硬く目を閉じた瞬間、は国光に引き寄せられた。 「大丈夫か?」 「うん…。大丈夫。ありがと・・・////」 を支える為に伸ばされた国光の腕はしっかりの腰に 回されていた。さらにいつもは目の前にあるはずのない兄の顔が 目の前にあることには頬を赤く染めた。 「どうかした・か・・・・・////」 そういいながらも国光もまた目の前にあるの顔に顔を赤らめた。 急停止を詫びるアナウンスが車内に響き、周りの乗客がざわつくが 二人の耳には聞こえていなかった。 続いて発車のアナウンスが入り、バスが動き出す。 その振動でさらに二人の距離は縮まり、無意識のうちに唇を重ねていた。 「「あ・・・」」 「ごめんっ」「すまない」 慌てて口元を押さえて互いに目を合わせないように背を合わせた。 そのままの降りるバス停がくるまで二人はただただ今起きた事の 事実があまたの中でリピート再生され、さらに紅潮させてるのだった。 『KISSしちゃったよぉ・・・////』 『俺は一体…///////////////』 住宅街から緑へと景色が分かり、の学校が見えてきた。 「そっ、それじゃ、いってくるね。」 国光の顔見ないではそう云うと、真っ赤になった顔を見られない様に 俯いたまま歩き出そうとする。国光はが鞄を掴んでいた腕を捕まえると の目線を捕らえた。 「来月からもう一本遅いバスで一緒に行くか?」 「あっ、うん!」 二人の中で何かが変わっていく、朝の時間だった。 1128HITERしてくださった薬袋しづきさまに捧げます。大変遅くなって ホント申し訳ないです。ゴメンナサイ!!「今年中でいいよ」なんて言って 貰っていてホントは5月にリク頂いていたんですよね。ゴメンナサイ。 手塚の妹でとリク頂いてどうしても浮かんでくるのは禁断愛なんですよ。 裏ジャン・・・って事で6ヶ月近くお待たせする事になってしまって。うぅ〜。 しづき様、いかがだったでしょうか?長らくお待たせし待ったのにこんなので ホント申し訳ございません。良かったら貰ってやってください。そしてこの話 なんだか続きそうですね。続編、いつか書かせていただくかもしれません、 いつか・・・ね。 ここまで、お付き合いしてくださった様本当にありがとうございました。 感想など頂けましたら喜びますのでBBSへカキコをヨロシコです。 2002.10.21 makoto fujitake |